伝統工芸を謳う美川仏壇では「縁付」しか使いません。それは、「縁付」には約四百年以上の伝統と実績がありますが、約三十年と歴史の浅い「断切」には何百年も品質を保った実績がなく、三百年以上の耐久性を持たせて造る美川仏壇には使えません。金閣寺をはじめ重要文化財の修復には「縁付」が使用されています。
また、「縁付」の箔打紙には柿渋、灰汁、卵白など自然素材のみが用いられており、化学薬品を用いる「断切」に比べ、人や環境に優しい製品だと考えるからです。
さらに大事な点は、大量生産の仏壇のほとんどが「断切」を使い、価格が安いからと利益だけを考え「断切」を使うと、「縁付」職人、雁皮紙を造る紙漉き職人、紙漉き道具を造る職人などの関連する伝統技術の輪が廃れてしまうからです。
伝統工芸は一つの総合芸術です。伝統工芸はその職人だけが造るのではなく、職人が使う道具や材料を造る舞台裏で働く職人達の連鎖によって支えられた多種多様な稀少技術の結晶です。
私たち美川仏壇職人はその連鎖を断ち切らないために、これまでもこれからも手造りにこだわり続けてまいります。
それは、先人たちの永々と築き上げて来た「日本の美しき伝統文化」を守り育て、さらに次の時代に伝承することで、社会に貢献できるものと信じます。
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