日本の文化は古来より「木の文化」といわれます。高温多湿の風土と気候に恵まれ育まれてきた「木の文化」に対して、欧米諸国人は「土の文化」「石の文化」を狩猟時代から培ってきたのではないでしょうか。
近年、世界中で森林破壊に伴う地球温暖化が問題となっていますが、日本人が培ってきた「木の文化」を大切に守っていきたいものです。素材としての木は身近な生活から産業にいたるまでありとあらゆるシーンで使われ、その集大成というべきものの一つに伝統工芸品のお仏壇があげられます。
江戸時代に現在の形に近いものが一般庶民の家庭に祀られたとされている仏壇には、日本の「木の文化」を語る要素が多く含まれているといえます。歴史を通じて日本人は、木材を非常に多くの用途に使用してきました。何百種類ともいわれる木材の中から形、大きさ、色、香り、耐朽性など、一本一本の樹木から取った木材でも個々に個性豊かな表情を魅せています。これも機械ではない自然が創りだした恵みだからこそ生まれたものなのです。
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